訪問介護の倒産件数の増加と事業所数の増加が同時に起こっている。(2025/1/18)
訪問介護の倒産件数が、2024年1月から10月までの間に72件に達し、前年の年間最多記録を既に上回りました。
ホームへルパーの有効求人倍率は、他の介護職種と比較しても特に高く、有効求人倍率が15倍を超えると報告され、深刻な人手不足を反映しています。
そのような中で、2024年介護報酬改定における基本報酬の2%以上のマイナス改定への批判も強まっています。
しかし、別の視点で見ると、状況が異なります。
厚生労働省によりますと、令和元年に34,825事業所あった訪問介護が、年々増え続けて、令和5年には、36,905事業所に増加しています。
倒産廃業件数が増加していますが、事業所数は伸び続けています。
ここから推論できることは、倒産廃業件数が増加は、事業所間の競争の激化と、結果としてホームへルパーを確保できない事業所が
淘汰されているという現実です。
ホームへルパーの高齢化も進んでおり、今後は高齢スタッフの退職も増えます。
厚労省によると、新たな処遇改善加算を未算定の訪問介護事業所が17%、区分3−4を算定する訪問介護事業所が50%です。
これらの事業所は、ホームへルパーの確保競争で、すでに負けています。
今後は、処遇改善加算や生産性向上への取組を活用出来ない事業所は、人材を確保する事が出来ずに廃業に追い込まれるケースが
増えてくると考えるべきでしょう。
特に、訪問介護においては、自然淘汰が進み、同時に再編成が進んでいますが、デイサービスなども例外ではありません。
デイサービスは平成28年から令和5年までの8年間、事業所数は43000から変わっていません。
新たなニーズに対応した事業所が開業すると同じ数だけ、旧態依然とした事業所が廃業に追い込まれています。
デイサービスであれば、レスパイト型から、リハビリ型への転換の遅れです。
今後は、さらにリハビリ型が選別されていきます。アウトカムが重視されます。
介護事業所は、国営ではありません。民営で、自由経済社会の中で、生存競争の真っ只中にいるのです。
国は、介護保険制度は守りますが、一介護事業所を守ることはありません。
すべては、経営者の自己責任です。
廃業に追い込まれた事業所の利用者と職員は、生存競争に勝った事業所に移るだけです。
退場するのは、時代の変化に適応できなかった経営者だけです。
ある方が言いました。経営者は、虎の背中に乗っているのと同じだと。
一瞬でも気を抜いたら、振り落とされて食い殺されてしまう。それが経営者だと。
激動の令和6年が終わり、令和7年はどういう年になるのでしょうか。
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今後の制度改正などのスケジュール
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2025年1月-3月 令和5年度経営情報の提出
2025年2月末 令和7年度処遇改善計画書提出期限
2025年1月 令和9年度介護保険法改正審議開始
2025年12月 介護保険部会 意見のとりまとめ